レーザー距離計の精度は、±1.5mm、±3mm、などと記載されていますが、
これは 直線距離を測った時の精度です。
さらに、「何mで何mmの誤差なのか?」という点が大切なのですが、
レーザー距離計のほとんどの仕様表記には、
ただ、『○○mm』と書かれているだけです。
測定距離:30m
測定精度:1.5mm
何mで何mmの精度なのか?を確認してください!
ここでは、レーザー距離計の精度について、3つの点から解説していきます。
目次
レーザー距離計の測定精度:モデルよる違い
レーザー距離計の精度は、機種によって異なります。
一般的に、価格が低いものは精度が低いです。
ライカのレーザー距離計DISTOシリーズを例に挙げると、
左のS910がもっとも精度が高く、右のD1が最も低いです。

価格も、1万円台から、24万円近くと、大きな開きがあります。
ライカが販売しているレーザー距離計の精度は、こちらです。
直線距離の場合です!
- 10mで±1.0mm (S910 / D810 touch / D510 / X4 / X3)
- 5mで±1.5mm (D2 / D110)
- 5mで±2.0mm (D1)
レーザー距離計の測定精度:ISO適合可否による違い
また、レーザー距離計の国際規格である「ISO16331-1」に
適合しているかどうかも、精度を判断する基準です。
そもそも基準とする長さを『1.0m』と定めたときに、
その1.0mは、『正確に1.0mなのかどうか』
ということを、なんらかの方法で担保する必要があります。
というのと、
というのとでは、精度に対する信頼性、透明性が格段に違ってきます。
この国際的に決められた基準というのが、
レーザー距離計の国際規格「ISO16331-1」です。
市場で販売されている製品の中には、適合していない製品も数多くあります。
その場合、そもそもの基準が異なるので、同じように比較はできないですね。

レーザー距離計の測定精度:機能による違い
ライカのレーザー距離計は、直線距離測定に加え、
高さを測定したり、任意の2点間を測定したりする機能があります。
製品の仕様に記載しているのは、直線距離を測ったときの精度なので、
離れたところから測る「高さ」や「2点間距離」の精度は、
これには該当しません。
ここでは、下記5種類の機能について、おおよその精度を図解してみました。
- 直線距離
- 水平距離・高さ・高低差測定などの、傾斜センサーを使った機能
- 写真測定
- 点間距離測定
- ピタゴラス機能

では、ひとつずつ詳しくみていきます。
直線距離
あらゆる機能の中で、最も精度が高いのが、直線距離測定です。
測りたい場所の片方にレーザー距離計を当てて、直接両端を測る方法です。
10m で ±1.0mm
これが、Leica DISTOシリーズの最高精度です。
新製品が加わり、対象機種は5つになりました。
- Leica DISTO X3 (New!)
- Leica DISTO X4 (New!)
- Leica DISTO D510
- Leica DISTO D810 touch
- Leica DISTO S910
次に精度が高いモデルは、室内用のアプリ対応2機種。
5m で ±1.5mm
- Leica DISTO D2
- Leica DISTO D110
DISTOシリーズのエントリーモデルで、
昨年11月にリリースしたLeica DISTO D1の精度は、5mで±2.0mm。
最も手ごろな価格ですが、Bluetooth付きなので、アプリも使えます。
高い精度で測りたいという場合は、
まず直接測ることができる環境づくりをご検討ください。
水平距離・高さ・高低差
そうはいっても、直接測れない場合が多いんです…という方におすすめなのは、
傾斜センサー付きのモデルです。
チルトセンサーとも言いますが、これを使って傾きの角度と斜距離から、
三平方の定理で水平距離や高さを計算します。
具体的な機能としては、3つあります。
誤差はおおよそ、
数mm ~ 数cm
の範囲です。対象物までの距離や、
レーザー距離計をどれだけ斜めに傾けるかによります。
傾き角度が大きければ大きいほど、誤差も大きくなりますので、
鋭角になる場合は、後ろに下がると少し精度が上がります。
レーザー距離計には、「ピタゴラス測定」という機能が多くのモデルに
付いていますが、上記の測定の方が精度が高く、信頼性の高い値が得られます。
チルトセンサー付きの機種は、新製品が加わり5つです。
- Leica DISTO X3 (New!)・・水平距離のみ
- Leica DISTO X4 (New!)・・水平距離と高さトラッキング
- Leica DISTO D510
- Leica DISTO D810 touch
- Leica DISTO S910
写真測定
レーザー距離計 進化の歴史は、”幅測定の歴史” でもあります。
横幅を離れた所から正確に測りたい、という要望に応えるべく開発されたのが、
写真を使った測定です。

写真のピクセルと、対象物までの距離から、三平方の定理を使って長さを計算します。
タッチパネル式画面なので、1回写真を撮った後は矢印をスーッと動かして、
幅に合わせます。
誤差は、画面ズームににより変動しますが、おおよそ、
数mm ~ 数cm
対象機種は2機種です。
- Leica DISTO D810 touch
- Leica DISTO S910

2点間距離

どこからでも、どんな場所でも、レーザーが当たれば長さが分かります。
誰でも気軽に、自在に、測りたい場所を測ることができます。
精度は、対象物に近ければ近いほど高く、
2m で ±2.0mm
5m で ±5.0mm
10m で ±10mm
対応機種は、3機種です。
- Leica DISTO S910
- Leica DISTO X4 および Leica DST360
- Leica DISTO X3 および Leica DST360 (室内専用)

より精度の高い2点間測定をご希望の場合は、Leica 3D Distoという選択肢もあります。
この製品は、10mで±1.0mmです。
ピタゴラス測定
先ほども書きましたが、「ピタゴラス機能付き!」
と謳ったレーザー距離計は、数多く出回っています。
けれども実際、その機能を使って仕事に耐えうる精度で測定することは、ほぼ不可能です。
人によっては、数十cmの誤差が生じてしまうため、弊社では使用をお奨めしていません。用途を伺ったうえで、下記の機能をお奨めしています。
高さ測定 ⇒ 高さトラッキング機能 or ハイトプロファイル機能
横幅測定 ⇒ 写真を使った測定 or 2点間測定
なぜ、ピタゴラス機能をおすすめしないのか。
その理由は、下記ページで詳しくご紹介しています。

まとめ
一口に『精度』といっても、使う機能によって、機種によって、
異なることがお分かりいただけたと思います。
メーカーの仕様欄には詳しく書かれていないことが多いので、
精度良く測定したい場合は、ご購入前にぜひお問合せいただければと思います。
レーザー距離計DISTOシリーズは、ホームセンターをはじめ、
インターネットや家電量販店でお取扱いがあります。
また、企業で購入される場合は、機械工具・計測機器関係の商社、
測量機器の代理店でもお取扱いがございますので、
御社のお取引企業へお問い合わせください。
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