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Leica DISTO X4 と D510 の生い立ち
この2つのレーザー距離計は、両方とも屋外用でサイズも価格も近い。
なぜだろう?とお思いになったかもしれません。
それは、これらの機種の生い立ちに関係します。

Leica DISTO D510 は、2013年に発売開始。
それまで、最上位機種であった屋外用のLeica DISTO D8の仕様をもとに、ファインダーの見やすさを改良し、価格も大幅に抑えた「屋外用レーザー距離計のスタンダードモデル」として登場しました。
現在に至るまで長らく親しまれている、
ロングセラー商品です。
屋外ではレーザーが見えない中、「外で測るには、デジタル・ファインダー搭載機種を!」というレーザー距離計の特長が、少しずつ広まってきた歩みとともにある製品です。
今では、DISTOシリーズ最古参となっています。
一方のLeica DISTO X4は、DISTO X3とともに、2018年に販売開始。
2mからの落下試験をクリアし、かつLeica DISTO D510と同等の耐じんあい・耐噴流という丈夫なモデルです。
堅牢モデルだったLeica DISTO X310の後継機種として登場しました。
さらに、大きな特長であり、D510と決定的に異なるのは、
オプションのアダプターDST360を付けることで、3次元測定ができること。
これは、現在のレーザー距離計 DISTOシリーズ最上位である、Leica DISTO S910を念頭に、「もっと手軽に3次元測定を!」というコンセプトのもと、3次元測定機能をLeica DISTO X4から切り離し、アダプターに搭載したことで実現しました。
いずれは、任意の2点間や敷地測定をしたいが、まずは価格や機能は最小限に抑えたい、という方のために最適なのが、Leica DISTO X4です。
選ぶポイント
拡張機能のあるDISTO X4 と、ロングセラーのスタンダードモデル DISTO D510。
結局どちらを選んだらよいの?という方は、以下のポイントを参考にしてください。
- 2点間距離測定ができるか(すぐに必要、またはいずれは使う可能性があるか)
- 落下への耐久性
- ディスプレイの見やすさ
ここからは、共通の機能や、それぞれの機種にしかないスペックをご紹介します。
外観
大きさ
屋外で持ち運ぶレーザー距離計は、大きすぎても、小さすぎても実用的ではありません。Leica DISTO D510 / X4 いずれも、片手で操作が可能なサイズです。
◆ Leica DISTO X4
寸法:132 x 56 x 29 mm
重量:188 g
◆ Leica DISTO D510
寸法:143 x 58 x 29 mm
重量:198 g


外観
屋外用レーザー距離計の外観は、サイズや耐久性だけでなく、手に持った時の操作性なども含めて、現場での作業効率を左右します。
Leica DISTO D510は、大きすぎず小さすぎず、手に持ってもそのサイズを感じさせない重量感。両サイドの滑りにくい凹凸の刻みによって、手袋をはめたままでもしっかりと握ることが出来、ボタン操作が可能です。
Leica DISTO X4 を含む「Leica DISTO Xシリーズ」 は、建設現場のような過酷な現場で使うことを想定してデザインされています(写真)。
距離計全体が特殊ラバーコーティングされており、落下による衝撃に耐えらられるだけでなく、滑りにくい凹凸形状によって、手になじみ操作しやすいデザインになっています。
ディスプレイ
レーザーが見えない屋外で測定をする際、対象物に正確にレーザーの照準を合わせるためには、ディスプレイでの確認がカギとなります。
ディスプレイが大きいほうが見やすいのは、もちろん言うまでもありませんが、Leica DISTO X4は、ディスプレイの小ささを感じさせないほど、鮮明に画像を映し出しています。
下の写真は、4倍ズームにしたX4(左)とD510(右)のファインダー画面です。
D510 / X4のいずれも、等倍(x1)、2倍(x2)、4倍(x4)への拡大ズームが可能です。
見やすさ
DISTO D510(左):見やすいマルチカラーで、立体的なデザインが特徴です。
DISTO X4(右):シンプルな二色カラーで、直感的な操作が可能なアイコン表示が特徴です。
本体の向きに合わせて画面が自動回転!(DISTO X4)
DISTO X4は、本体の向きに合わせて、画面が自動的に回転します。
この機能は、Leica DISTO X4 / X3だけの機能です。
もう、測定画面を見るために顔や体を無理に傾ける必要はありません。
回転しないように画面を固定することも可能です。
共通する機能
DISTO D510 / X4 両方で使える機能をご紹介します。
高さトラッキング
離れたところから、高さを測りたいときに使うのが「高さトラッキング機能」です。
ピッピッと2回測定するだけで、
斜距離と傾斜角から、高さを瞬時に計算します。
「高さトラッキング」機能は、以下のようなシーンで役立ちます。
- ビルの屋上にある看板の高さを知りたい。
- 建設途中で、設計どおりに正しく施工できているか確認したい
- 樹木の高さを知りたい。

水平距離測定
DISTO本体から対象物までの水平距離を測ることができます。
斜距離と傾斜角から、
水平距離を自動で瞬時に計算するので、
以下のような場合でも、
水平距離を求めることができます。
- 室内では: 棚やモノがあって壁が隠れており、壁までの距離が測れない
- 屋外では: 塀やガラス戸があって、奥の建物までの距離が測れない
水平距離のほか、垂直高も同時に算出されます。

測定しながらメモや作図ができる!アプリ「DISTO Plan」
- 測定した値をメモしたい、写真に書き込みたい
- 簡単な間取り図や立体図を作成したい
- 測定結果をCADで使いたい
これらの作業が、現場での測定と同時にできるアプリが
「DISTO Plan]です。
お持ちのスマートフォンやタブレットにダウンロードして、測定と同時に記録ができ、CAD用のデータとして出力することが出来ます。

Leica DISTO D510は、
距離計本体からの測定指令のみ 出すことができます。端末側の操作での測定指令は出来ませんのでご注意ください。
Windowsソフト「Disto transfer 6.0」
DISTO transferは、レーザー距離計で測定した結果をWindowsへ転送したい時に使う、専用ソフトウェアです。
ソフトウェアをインストールしたWindows とDISTOをBluetooth接続し、リアルタイムで転送することが可能です。
たとえば、以下のような測定や転送をすることが出来ます。
- 測定した値をExcelやテキストに転送
- 一定間隔で自動測定をして、その値をリアルタイムで転送
- Windowsから測定指令を出す(※)
※ Leica DISTO D510は、距離計本体からの測定指令のみ 出すことができます。
端末側の操作での測定指令は出来ませんのでご注意ください。

水やホコリに強い!
DISTO D510 / X4は、水やホコリに強い丈夫なモデルです。
過酷な現場での使用を想定して作られているため、
水や塵埃(じんあい)への耐久度をあらわす保護等級は、IP65です。
雨や水しぶきがかかっても大丈夫。
泥やホコリで汚れたDISTO本体を、流水で洗うことも出来ます。
(水中での使用はできません)
保護等級としてのIP65 が、どれほどの耐久度を意味するのか、
下記ページで詳しくご紹介しております。

Leica DISTO X4 のみの機能
Leica DISTO X4 でのみ使える機能をご紹介します。
高さ2mからの落下試験に合格
レーザー距離計は精密機器ですが、故障で最も多い原因が、落下です。
Leica DISTO X4 は、建設現場など屋外の過酷な環境下での使用を前提に、コンクリートや金属などの硬い床の上に落とすことも想定されています。
「他のモデルは、1m」からの落下テストなのに対し、
Leica DISTO X4 および Leica DISTO X3のみ、
「2mからの落下試験」を実施しています。
二点間距離測定
Leica DISTO X4の特徴的な機能の1つが、
2点間(P2P; Point to Point)距離測定です。
三次元の座標情報により、離れた場所から、
幅や高さなど、2点間の距離を測ることができます。
例えば、次のような用途で役立ちます。
- 任意の2点間の距離を測りたい。
- 正面に行けない場所にある看板の幅を測りたい。
- 地上から、屋根の長さや傾斜角を測りたい。
この機能を使うと、高さや幅を2回の測定だけで簡単に把握することが出来ます。
※ Leica DISTO X4を使った2点間距離測定は、
本体を専用アダプターLeica DST 360に取り付けることで可能になります。
測定の前にレベリング(整準)を行うことで、高さ、水平距離、傾斜角も瞬時に測定できます。

スマートルーム機能
手書きで図を描かなくても、測るだけで図ができる。
アプリ「DISTO Plan」のスマートルーム機能は、部屋の辺を時計回りに順に測定していくだけで、大まかな間取り図が出来ます。
こんな方に、スマートルーム機能はぴったりです。
- 測定から図面作成までの時間を短縮したい。
- 床面積や壁ごとの面積、部屋全体の周長、容積も知りたい。
- 現地調査で図面(平面図、立体図)を作りたい。
スマートルーム機能でやることは、部屋の壁を順番に測っていくことだけ。
全ての測定が終わった時点で、自動的に図面ができています。
さらに、作成した図面で次のことが出来ます。
- 図には開口部も反映し、ドアや窓を追加
- 天井などの高さ情報を入れて、立体的な図の作成
- 画像データ(JPG/PDF)やCADデータとして出力
このようなことが出来るのは、ライカのレーザー距離計の中でも、
「IMU慣性計測装置内蔵」が搭載された、Leica DISTO X3 / X4 のみです。

自動測定
ソフトウェア「DISTO transfer 6.0」を使って、一定の時間間隔(最短5秒)で自動測定することができます。工場や研究施設などでのモニタリングに役立ちます。
下記ページで、Leica DISTO X4 を使って長時間、自動測定した例をご紹介しています。

キーパッドモード(アプリ不要で転送)
アプリやソフトウェアを使わずに、測定結果を転送する機能です。自社開発のソフトウェアへ値を直接転送したい場合にもお使い頂けます。
◆ Windowsに転送する

◆ iPadやAndroidに転送する

視差補正機能
近距離で測定すると、ファインダー画面中央の十字の印と、レーザードットがずれて見えることがあります。
これはレーザー距離計の構造上の仕様で、製品不良ではありません。
レーザードットの位置が、正しい位置ですので、
おおよそ20mよりも近距離の測定時は、レーザードットを視認しながら測定を行なう必要があります。
DISTO X4 には、視差補正機能が搭載が搭載されており、
自動的に補正されたものが画面に表示されます。
ズレを気にせずに測定を続けることが出来ます。

Leica DISTO D510 のみの機能
Leica DISTO D510 でのみ使える機能をご紹介します。
高さプロファイル(高低差測定)機能
高さプロファイル機能は、任意の場所を基準として、そこからの高低差を測ることができます。
例えば、こんなときに役立ちます。
- 高さを測りたいが、測りたい場所の真下がわからないとき
- 平面の凹凸や傾斜を測定したいとき(簡易レベル出し)
- 斜面の形状を簡易的に測りたいとき

測距範囲
- Leica DISTO D510: 0.05 m ~ 200 m
- Leica DISTO X4: 0.05 m ~ 150 m
DISTO D510 のほうが、より長距離を測ることができます。
ただし、距離計単品で実際に外で測る場合は、太陽光の影響、対象物の面の具合により、測定範囲がこれよりも狭くなります。
距離計だけを使って測定できる距離は、最大でも60m前後を目安として頂き、それ以上は、測定出来たり、出来なかったりします。
長距離を確実に測定をされたい場合は、ターゲットプレートをお使い下さい。

まとめ
Leica DISTO D510 ならびに Leica DISTO X4 については、
「どちらを選んだらよいか」というお問い合わせをよく頂きます。
屋外用レーザー距離計を選ぶ際には、
- 測定で何を得たいのか(距離、幅、高さ、三次元情報など)
- どんな作業に使いたいのか(測定メモ、図面作成、CADデータ取得など)
という点を確認されるだけでなく、よく使用される現場の環境に応じて、長くお使い頂くための最適な一台をお選び下さい。

ご不明な点がありましたら、当サポートサイトの「お問い合わせ」をご利用ください。
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