水平距離

水平距離、高さ測定の誤差

レーザー距離計 Leica DISTOシリーズの水平距離や高さを求める機能は、斜距離と傾斜角度から計算して値を出しています。直接測るのではなく、間接的に計算して求めるため、直接測る場合と比べると、誤差が大きくなります。

「どれくらい、誤差がありますか?」

というお問合せを多くいただくので、今回この記事では、下記3つの機能を使用したときに生じる誤差について、解説します。

  • 水平距離測定機能
  • 高さトラッキング機能
  • ハイト・プロファイル機能

※ 直線距離、3次元座標を使った測定、写真を使った測定の誤差は、それぞれ算出方法が異なります。

  • 直線距離、3次元座標を使った測定:各製品のマニュアルに記載がありますので、ご覧ください。
  • 写真を使った測定:こちらの記事の「精度」項目をご覧ください。

計算式

誤差は、下記の計算式で算出します。「レーザーの位置があるべき位置からずれている」というオペレーション誤差は考慮していませんので、あらかじめご了承ください。

水平距離の誤差(fd) = d × cos (a) – d × cos (a + fa)
高さの誤差(fh)= d × sin (a) – d × sin (a + fa)

fd = 水平距離の誤差(horizontal distance error)
fh = 高さの誤差(error in height)
d = 測定距離(measured distance)
a = 距離測定時の傾斜角度(angle at which the distance is measured)
fa = 生じうる傾斜角度誤差(possible angular error)
= 傾斜角測定公差(※1) + 最小からの変化角度(※2) × 0.01°

※1 傾斜角測定公差:マニュアルのテクニカルデータに記載(機種により違います)
※2 最小からの変化角度:0°, 90°, 180°, 270° を最小とし、そこから何° 傾いているか (図参照)

「fa = 生じうる傾斜角度誤差」は、少し分かりづらいので、DISTO D810 touchを例に、図解しています。
「※1」に記載したとおり、機種ごとに傾斜センサーの精度が異なります。お手持ちの機種名、マニュアルをご参照の上、数字を入替えて計算してください。

【例】D810 touch
最小:0°, 90°, 180°, 270°のとき=傾斜角測定公差=0.1°
最大:45°, 135°, 225°, 315°のとき=0.1° + 45° × 0.01° = 0.55°

その他の角度は、90°単位で変化していきます。
20°:fa = 0.1 + 20° × 0.01° = 0.3°
70°:fa = 0.1 + 20° × 0.01° = 0.3°
300°:fa = 0.1 + 30° × 0.01° = 0.4°

水平距離の誤差

ではまず、水平距離の誤差から解説します。

水平距離を知りたい対象物にねらいを定め、1回測定するだけで、水平距離が計算される「水平距離機能」。水平距離と同時に、高さも計算されますが、これは次の項目で解説します。

Leica DISTO D510という屋外モデルを使って、条件を定めて計算してみます。10mの距離(d)で、傾斜角度は30°(a)としてみましょう。

水平距離の誤差(fd) = d × cos (a) – d × cos (a + fa)

d = 10m (図の1、つまり斜距離)
a = 30°
fa = 傾斜角測定公差 + 最小からの変化角度 × 0.01° = 0.2° + 30° × 0.01° = 0.5°

数字を当てはめてみます。

水平距離の誤差(fd) = 10 × cos (30) – 10 × cos (30 + 0.5) = 0.04396………

googleで「関数電卓」と検索すると、電卓が表示されます。上記の値を入れた結果、「誤差は0.0439m」でした。
【ご注意】角度が「Deg」になっていることをご確認ください。Rad(ラジアン)だと異なる値になります。

高さの誤差

では次に、高さの誤差を見ていきます。距離と傾斜角から高さを算出する方法は3つありますので、それぞれ順に解説していきます。

  1. 高さトラッキング機能で測る
  2. 水平距離測定機能で測る
  3. 高さプロファイル機能で測る(基準からの高低差測定)

1. 高さトラッキング機能で測る場合

 

 

 

 

上図(左)のように、対象物の上下を測って高さを求める「高さトラッキング機能」。この場合は、上図(右)のように、2つの直角三角形に分割して考えます。上下の三角形それぞれの高さ誤差を合計します。Leica DISTO D510 (屋外モデル) を例に、計算してみます。

1点目: 1.12mの距離(d)で、傾斜角度は21.75°(α)
2点目: 2.306mの距離(d’)で傾斜角度は63.2°(β)
→2点目の斜距離は、D510には表示されません。水平距離と傾斜角から計算してください。

fa = 傾斜角測定公差 + 最小からの変化角度 = 0.2° + 21.75° × 0.01° = 0.4175°
fa’ = 傾斜角測定公差 + 最小からの変化角度 = 0.2° + (90°-63.2°) × 0.01° = 0.468°

高さの誤差(fh)= { d × sin (α) – d × sin (α + fa) } + { d’ × sin (β) – d’ × sin (β + fa’) }

上記式に値を当てはめると、

高さの誤差(fh)=
{ 1.12 × sin (21.75) – 1.12 × sin (21.75 + 0.4175) } + { 2.306 × sin (63.2) – 2.306 × sin (63.2 + 0.468) }
=-0.01599…….

googleで「関数電卓」と検索すると、電卓が表示されます。上記の値を入れた結果、「誤差は-0.0159m」でした。
【ご注意】角度が「Deg」になっていることをご確認ください。Rad(ラジアン)だと異なる値になります。

2. 水平距離測定機能で測る場合

水平距離測定機能から、高さも算出されることをご存知でしょうか?水平距離機能の項目で挙げた値と同じ値を使って、計算してみましょう。

d = 10m (図の1、つまり斜距離)
a = 30°
fa = 傾斜角測定公差 + 最小からの変化角度 × 0.01° = 0.2° + 30° × 0.01° = 0.5°

高さの誤差(fh)= d × sin (a) – d × sin (a + fa) = 10 × sin (30) – 10 × sin (30 + 0.5)
= -0.07538….

「関数電卓」で計算したところ、「誤差は-0.07538m」でした。
【ご注意】角度が「Deg」になっていることをご確認ください。Rad(ラジアン)だと異なる値になります。

10m離れた場所で、30°の傾斜をつけて測定した場合、水平距離は約4.4cm、高さは約7.5cmの誤差が生じるという結果になりました。この値が、大きいか小さいかは、お客様の用途によって異なります。もし、より精度の高い機器をご希望の場合は、3次元座標を使って測る距離計をご検討ください。(ページ下部参照)

3. 高さプロファイル機能で測る場合

基準となる位置を決めて、その場所からの高さを継続して測る「高さプロファイル」機能。

誤差を求めるには、水平より下のみ測る場合(-90° ~ 0° )と、水平より上部( 0° ~ +90° )を含めるかどうかで、計算式が変わってきます。

  • 基準の場所および測定場所が、いずれも-90° ~ 0° の範囲内の場合:
    「2. 水平距離測定機能で測る場合」参照
  • 基準の場所および測定場所が、-90° ~ +90° の範囲内の場合:
    「1. 高さトラッキング機能で測る場合」参照

【ご注意】
高さプロファイル機能は、傾斜角が測定結果に表示されません。そのため、画面右上に傾斜角度が表示されるように、本体の「FUNC」ボタンから設定してください。

より精度高く測定したい場合

これまで解説してきた機能は、距離計の傾斜角度と斜距離から、値を算出しています。レーザー距離計 DISTOシリーズには、3次元座標を使って値を計算するモデルもご用意しています。斜距離、傾斜角度に加え、水平方向の角度センサーを備えていますので、3次元のXYZ座標を計算できます。

下記の2機種は、「10mで±10.0mmの精度」で測定できる、3次元レーザー距離計です。

  • Leica DISTO X3 / X4 および 専用アダプター DST360の組合せ
    2018年5月に発売した、丈夫でコンパクトなシリーズです。
  • Leica DISTO S910 パッケージ
    タッチパネル式のより大きな画面のモデルです。こちらが、上記Xシリーズの先駆けとなりました。

さらに精度をお求めの場合は、こちらの選択肢もあります。「10mで±1.0mmの精度」です。

  • Leica 3D Disto
    Windows端末から機器を操作します。工場での品質管理検査にも採用されている機器です。

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